🔗 EIQマトリクス表と従来計算の関係

2つの分析手法の相互関係と統合的活用法

📋 関係の概要

🎯 核心的な関係性
EIQマトリクス表と従来計算(従来分析)は、同一の考案者である寺本敏幸氏によって開発された、 相互補完的な物流分析手法です。両者は同じデータソース(T200テーブル)から生成され、 同じ5段階ランク体系を採用することで、多角的かつ整合性のある分析を実現します。

両分析手法は独立して使用できますが、併用することで最大の効果を発揮します。 従来計算で全体像を把握し、EIQマトリクスで詳細な関係性を分析する、という段階的アプローチが推奨されます。

👤 共通の考案者

🎓 寺本敏幸氏による体系的開発
物流技術研究所の寺本敏幸氏は、従来のABC分析の限界を克服し、 物流現場でより実践的な分析を行うために、以下の2つの手法を体系的に開発しました:
  • EIQマトリクス分析: Entry(出荷先)とItem(アイテム)の関係性を可視化
  • 従来計算(ABC分析5分割版): ABC分析を5段階に細分化し、EIQ分析と整合

両手法は最初から統合的に設計されており、同じランク体系、同じ集計ロジック、 同じ物量指標を用いることで、シームレスな分析連携を可能にしています。

🏗️ 共通基盤

1. 同一データソース

📊 T200テーブル(抽出済み出荷データ)

両分析は、条件抽出後のT200テーブルを共通データソースとして使用します。

項目 内容
テーブル名 T200(条件抽出後の出荷データ)
主要カラム 出荷日、アイテム、出荷先、出荷区分、数量、ケース数、PL数、容積、重量
ランクカラム CIランク、CEランク、BIランク、BEランク、IQ種別、EランクI、IランクE
生成タイミング 「条件抽出_計算Bt」ボタンクリック時に生成

2. 共通ランク体系(5段階)

🎖️ A1, A2, B, C, D の5段階

両分析とも、累積比率に基づく同一の5段階ランクを採用しています。

ランク 累積比率 該当比率 位置づけ
A1 0 ~ 50% 約 5% 物量の50%を占める最重要層
A2 50 ~ 70% 約 15% 物量の20%を占める重要層
B 70 ~ 85% 約 30% 物量の15%を占める中程度層
C 85 ~ 95% 約 30% 物量の10%を占める低頻度層
D 95 ~ 100% 約 20% 物量の5%を占める最低頻度層

3. 共通物量指標

📦 集計される物量指標
  • 行数: 出荷レコード数(出荷回数)
  • バラ数: ピース単位の個数
  • ケース換算: ケース数
  • PL換算: パレット数
  • 容積換算: 容積(㎥)
  • 重量換算: 重量(kg)

これらの指標は、両分析で共通に使用されるため、 数値の整合性が保たれ、相互検証が容易です。

📊 EIQマトリクス分析(詳細)

分析の特徴

🔍 2軸マトリクス分析
  • 視点: Entry(出荷先)とItem(アイテム)の関係性を分析
  • 表現形式: 5×5のマトリクス表(25セル)
  • ランク軸:
    • Iランク(横軸): アイテムのランク(I-A1, I-A2, I-B, I-C, I-D)
    • Eランク(縦軸): 出荷先のランク(E-A1, E-A2, E-B, E-C, E-D)
  • セル内容: 各セルに、該当する「出荷先とアイテムの組み合わせ」の物量を表示
  • 表示モード:
    • 実数表示: 行数、ケース数、PL数などの実数値
    • A比率表示: 行方向(Iランク方向)の累積比率
    • B比率表示: 列方向(Eランク方向)の累積比率

EIQマトリクス表の例(イメージ)

Eランク
Iランク(アイテム) → 合計
I-A1 I-A2 I-B I-C I-D
E-A1 500 300 200 100 50 1,150
E-A2 200 150 100 80 30 560
E-B 100 80 60 40 20 300
E-C 50 40 30 20 10 150
E-D 20 15 10 8 5 58
合計 870 585 400 248 115 2,218
📌 表の読み方
  • セル (E-A1, I-A1) = 500: 最重要顧客(E-A1)に最重要品(I-A1)を出荷した行数が500
  • E-A1行の合計 = 1,150: 最重要顧客への全アイテムの出荷行数
  • I-A1列の合計 = 870: 最重要品の全出荷先への出荷行数

📈 従来計算(詳細)

分析の特徴

🔍 単軸集計分析
  • 視点: 1軸のみに注目し、ランク別に集計
  • 2つの分析軸:
    • アイテム別: アイテムを物量でランク付け(CIランク, BIランク)
    • 出荷先別: 出荷先を物量でランク付け(CEランク, BEランク)
  • 表現形式: ランク別の集計表(1次元テーブル)
  • 目的: 各ランクに属する数(アイテム数/出荷先数)と物量の分布把握

従来計算の表例(アイテム別)

CIランク アイテム数 行数 ケース換算 PL換算 容積 重量
CI-A1 50 870 500 50 100.0 500.0
CI-A2 150 585 300 30 60.0 300.0
CI-B 300 400 200 20 40.0 200.0
CI-C 300 248 100 10 20.0 100.0
CI-D 200 115 50 5 10.0 50.0
合計 1,000 2,218 1,150 115 230.0 1,150.0
📌 表の読み方
  • CI-A1: 50アイテム(全体の5%)が、870行(全体の約39%)を占める
  • CI-D: 200アイテム(全体の20%)だが、115行(全体の約5%)のみ
  • ⇒ 少数の重要アイテムが大量の物量を占める「80:20の法則」が確認できる

⚖️ 2つの分析手法の比較

EIQマトリクス分析

  • 次元: 2次元(Iランク × Eランク)
  • 表現: 5×5マトリクス(25セル)
  • 視点: 関係性・相関性
  • 粒度: 詳細(組み合わせ単位)
  • 用途: ゾーニング、動線設計、設備配置
  • データ量: 多(25セル)
  • 理解難易度: やや高い
  • 対象者: 現場担当者、設計者

従来計算(従来分析)

  • 次元: 1次元(Iランク または Eランク)
  • 表現: ランク別集計表(5行)
  • 視点: 分布・構成比
  • 粒度: 概要(ランク単位)
  • 用途: 全体把握、資源配分、優先度判断
  • データ量: 少(5行×2軸)
  • 理解難易度: 低い
  • 対象者: 経営層、管理者
🎯 どちらを使うべきか?
答え: 両方を併用する
  • まず従来計算で全体像・分布を把握
  • 次にEIQマトリクスで詳細な関係性を分析
  • 両者を相互検証し、データの整合性を確認

🔗 データの関連性

数値の整合性

📐 EIQマトリクスと従来計算の数値関係

✅ 成立する関係式

【アイテム別】
従来計算の「CI-A1の行数」 = EIQマトリクスの「I-A1列の合計」
従来計算の「CI-A2の行数」 = EIQマトリクスの「I-A2列の合計」
・・・(以下同様)
【出荷先別】
従来計算の「CE-A1の行数」 = EIQマトリクスの「E-A1行の合計」
従来計算の「CE-A2の行数」 = EIQマトリクスの「E-A2行の合計」
・・・(以下同様)
✅ つまり...
  • EIQマトリクスの行合計 = 従来計算の出荷先別の値
  • EIQマトリクスの列合計 = 従来計算のアイテム別の値
  • EIQマトリクスの総計 = 従来計算のどちらの総計とも一致

数値検証の例

前述のマトリクス表と従来計算表で検証:

検証項目 EIQマトリクス 従来計算(アイテム別) 一致
I-A1 / CI-A1 行数 870 870
I-A2 / CI-A2 行数 585 585
全体合計 2,218 2,218

この整合性により、相互検証が可能であり、データ入力ミスや計算エラーを早期発見できます。

🎯 統合的活用法

段階的分析アプローチ

推奨される分析フロー
STEP 1
従来計算(アイテム別)
全体分布の把握
STEP 2
従来計算(出荷先別)
顧客構成の把握
STEP 3
EIQマトリクス分析
関係性の詳細分析
STEP 4
相互検証
数値の整合性確認
STEP 5: 意思決定
レイアウト設計・設備配置
統合的な判断

活用シーン別の使い分け

シーン 従来計算の活用 EIQマトリクスの活用
経営層への報告 : シンプルで理解しやすい △ 補足資料として
全体傾向の把握 : ランク別分布が一目瞭然 △ 詳細すぎる
資源配分の決定 : ランク別に明確に判断可能 ○ 補完的に使用
倉庫レイアウト設計 ○ 全体像把握の初期段階 : ゾーニング設計に最適
動線計画 ○ 優先順位の参考 : 出荷先×品の関係が重要
設備配置の詳細検討 △ 単純すぎる : セル単位の分析が必要
現場オペレーション改善 ○ 重点管理対象の特定 : 具体的な動きの分析
データ検証 併用 併用

🔄 分析ワークフロー(実践編)

Tera計算1での操作手順

  1. データ準備
    • Tera計算1を起動
    • 「1出荷データ分析」画面を開く
    • 出荷データ(T100テーブル)が読み込まれていることを確認
  2. 条件抽出
    • 「EIQデータ分析」タブを選択
    • 抽出条件を設定(期間、出荷区分、出荷先ルート、アイテム区分等)
    • 「条件抽出_計算Bt」ボタンをクリック
    • ⇒ T200テーブル生成、ランク計算(CI, CE, BI, BE, Iランク, Eランク)実行
  3. 従来計算の確認(STEP 1)
    • 「従来分析」タブを選択
    • アイテム別分析を確認:
      • CI-A1, CI-A2, CI-B, CI-C, CI-D の分布
      • アイテム数、行数、物量の比率
    • 出荷先別分析を確認:
      • CE-A1, CE-A2, CE-B, CE-C, CE-D の分布
      • 出荷先数、行数、物量の比率
    • 全体像を把握
  4. EIQマトリクスの確認(STEP 2)
    • 「EIQデータ分析」タブに戻る
    • EIQマトリクス表を確認:
      • 5×5マトリクスの各セル値
      • どの組み合わせ ( Eランク×Iランク ) が多いか
      • 実数表示 / A比率 / B比率 を切り替えて多角的に分析
    • 詳細な関係性を把握
  5. 数値検証(STEP 3)
    • 従来計算の「CI-A1の行数」と、EIQマトリクスの「I-A1列の合計」を比較
    • 従来計算の「CE-A1の行数」と、EIQマトリクスの「E-A1行の合計」を比較
    • 数値の整合性を確認(一致していればOK)
  6. Excel出力(必要に応じて)
    • 「Excel送信」ボタンでEIQマトリクスをExcel出力
    • 従来計算の表もExcelにコピー
    • 並べて比較・レポート作成
  7. 意思決定・アクション(STEP 4)
    • 従来計算で特定したA1ランクのアイテム/出荷先を優先配置
    • EIQマトリクスで特定した高頻度セル(例: E-A1×I-A1)のゾーニングを最適化
    • レイアウト設計、設備配置、動線計画に反映

💼 実践例: 新倉庫レイアウト設計

🏭 ケーススタディ: 新倉庫のレイアウトを設計する

背景

新倉庫を建設するにあたり、以下を決定する必要がある:

  • ピッキングエリアのサイズ
  • アイテムの配置順序
  • 出荷先別のゾーニング
  • 自動化設備の導入範囲

分析手順

フェーズ1: 従来計算でマクロ把握
  1. 従来計算(アイテム別)を確認
    • CI-A1: 50アイテム(5%)→ 物量の50%を占める
    • CI-A2: 150アイテム(15%)→ 物量の20%を占める
    • 上位200アイテム(20%)で物量の70%
  2. 従来計算(出荷先別)を確認
    • CE-A1: 10出荷先(5%)→ 物量の50%を占める
    • CE-A2: 30出荷先(15%)→ 物量の20%を占める
    • 上位40出荷先(20%)で物量の70%
フェーズ2: EIQマトリクスで詳細分析
  1. EIQマトリクス表を確認
    • セル (E-A1, I-A1) = 500行 → 最重要顧客×最重要品の組み合わせ
    • セル (E-A1, I-A2) = 300行 → 次に重要な組み合わせ
    • セル (E-D, I-D) = 5行 → ほぼ動かない組み合わせ
  2. A比率・B比率で累積分布を確認
    • E-A1行の累積比率が高いセルを特定
    • I-A1列の累積比率が高いセルを特定
フェーズ3: レイアウト決定
  1. ピッキングエリア前列:
    • CI-A1の50アイテムを配置
    • さらにEIQマトリクスで (E-A1, I-A1) の組み合わせを最優先位置に配置
  2. ピッキングエリア中央:
    • CI-A2の150アイテムを配置
    • (E-A1, I-A2) や (E-A2, I-A1) を考慮して配置順序を決定
  3. ピッキングエリア後列:
    • CI-Bの300アイテムを配置
  4. リザーブエリア:
    • CI-C, CI-Dの500アイテムを配置
    • EIQマトリクスで (E-D, I-D) などの低頻度セルは倉庫奥または別棟に保管
  5. 自動化設備の導入:
    • CI-A1 + CE-A1の組み合わせ領域に自動ピッキング装置を導入
    • ROI(投資対効果)が最大化される

期待される効果

  • ✅ ピッキング動線距離: 30%削減
  • ✅ ピッキング作業時間: 25%削減
  • ✅ 出荷リードタイム: 20%短縮
  • ✅ 在庫スペース: 15%削減
  • ✅ 自動化投資効率: 最大化

📚 まとめ

🎯 EIQマトリクス表と従来計算の関係 - 核心的ポイント
  1. 同一の考案者: 寺本敏幸氏が一貫した設計思想で開発
  2. 同一のデータソース: T200テーブルから生成され、数値の整合性が保たれる
  3. 同一のランク体系: 5段階(A1, A2, B, C, D)で統一
  4. 相互補完的: 従来計算は全体把握、EIQマトリクスは詳細分析
  5. 相互検証可能: 行合計・列合計で数値一致を確認できる
  6. 段階的活用: 従来計算 → EIQマトリクス → 意思決定 の流れが効果的
✅ 実務での活用指針
目的 使用する分析手法
全体傾向の把握 従来計算 (シンプルで理解しやすい)
経営層への報告 従来計算 (説明が容易)
資源配分の意思決定 従来計算 (ランク別に明確)
倉庫レイアウト設計 EIQマトリクス (ゾーニングに最適)
動線計画・設備配置 EIQマトリクス (関係性が重要)
詳細なオペレーション改善 EIQマトリクス (セル単位の分析)
データ検証 両方を併用 (相互検証で精度向上)
包括的な物流戦略立案 両方を併用 (多角的な分析)
🎓 寺本敏幸氏の設計思想
物流技術研究所の寺本敏幸氏は、従来のABC分析の限界を認識し、 より実践的で詳細な物流分析を可能にするために、以下を実現しました:
  • 5段階ランク体系: ABC(3分割)を5分割に細分化
  • 2軸マトリクス分析: Entry(出荷先)とItem(アイテム)の関係性を可視化
  • 統合的設計: 従来計算とEIQマトリクスを最初から連携前提で設計

この2つの分析手法は、単独でも強力ですが、併用することで真価を発揮し、 物流現場の課題解決と最適化を実現します。